あと2点の壁を超える行政書士試験勉強ノート

2021年の行政書士試験をあと2点で不合格になった筆者が、今年こそ合格を目指していく勉強ノート

【行政法】行政不服審査法事件・事件訴訟法の紛らわしい文言整理!重大な損害・著しい障害、公共の福祉関連

行政不服審査法行政事件訴訟法の紛らわしい文言について

行政不服審査法行政事件訴訟法には、制度によって「重大な損害」、「著しい障害」、「公の利益」、「公共の福祉」、など、似たような文言が出てきて混乱しがちです。この記事ではそれを整理していきます。

執行不停止原則と仮の権利保護手続き

行政不服審査法行政事件訴訟法は執行不停止の原則が採られています。違法・不当な処分にもかかわらず処分が続行されてしまうと、私人の権利利益が害されてしまう可能性があります。これを防ぐために、仮の権利保護手続きが定められています。この仮の権利保護手続をするにあたっての条件で、「重大な損害」「公共の福祉」といったワードが出てきます。

事情判決

行政事件訴訟法には、事情判決という制度があります。事情判決は、処分の違法は宣言しますが、違法な処分・採決をした行政側を結果的には勝訴させるものです。私人の保護よりも、公共の福祉の実現を優先させる制度です。確かに処分は違法でも、今から原状回復するには問題が大きすぎるということです。この事情判決を考慮するにあたって、「著しい障害」「公共の福祉」といったワードが出てきます。

 

このように2つの法律とテーマで似たような文言が出て、その文言の1つ1つが結構紛らわしく、どれがどれだったのかが混乱しがちなので、それを以下の3パターンで整理していきます。

 

3パターンで文言整理

行政不服審査法の仮の権利保護手続

第25条4項 「前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。」

 

行政事件訴訟法の仮の権利保護手続

第25条2項 「処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。」

 

行政事件訴訟法事情判決

第31条1項 「取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。」

 

  損害・障害の程度 公共の福祉との兼ね合い
仮の権利保護手続(行政不服審査法 重大な損害 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
仮の権利保護手続(行政事件訴訟法 重大な損害 公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
事情判決行政事件訴訟法 公の利益に著しい障害 公共の福祉に適合しないと認めるとき

 

どの文言がどのケースだったか、というのは混乱しやすいので、是非おさえておきましょう。