【民法】保証人の通知義務
はじめに
保証人に対して、債権者から債務の履行が請求された場合(貸したお金を払え、など)、保証人は主債務者に対して通知義務を負います。
これをきちんと行うか怠るかで、主債務者も保証人も主張できることが変わっていきますので、きっちりおさえておきましょう。
委託を受けた保証人がいる場合
保証人の事前通知義務
委託を受けた(つまり頼まれて保証人になった)保証人が、債権者から債務の履行を請求された場合、弁済前に主債務者に対して通知義務を負います。
「これから弁済を行います」ということをきちんと通知せよ、ということです。
保証人がこの通知を怠って弁済した場合、主債務者は債権者に対抗できたことを保証人に対して主張できます。
主債務者の事後通知義務
委託を受けた保証人がいる場合、主債務者が弁済した場合には、主債務者は弁済した旨を保証人に通知しなければなりません。「もう弁済しました」ということをきちんと通知せよ、ということです。
主債務者が弁済後に通知をせず、善意の保証人が重ねて弁済してしまったときは、保証人は自己の弁済を有効とみなすことができ、主債務者に対して求償することができます。
保証人の事後通知義務
委託を受けた保証人は、弁済後も主債務者に通知する義務があります。「もう弁済しました」ということをきちんと通知せよ、ということです。
保証人が弁済後の通知をせずに、善意の主債務者が重ねて弁済した場合には、主債務者は、自己の弁済を有効とみなすことができ、保証人からの求償を拒むことができます。
委託を受けていない保証人
委託を受けていない保証人には事前通知義務も事後通知義務もありません。委託を受けていない保証人は、元々求償権が制限されているので、通知をしてもしなくてもそこに変わりはないからです。
通知なしに主債務者が弁済しても、主債務者の弁済を有効とみなせるので、主債務者が損をすることはありません。
この辺の求償権については過去記事でまとめました。
gyouseisyosi-study.hatenablog.com
最後に
いわゆるほうれんそう(報・連・相)は仕事でも生活でも大切なことで、これさえきちんとやっておけば避けられたトラブル、というのはよくあることです。
法律のうえでも通知を怠ることで、主張できることができなくなってしまうなど、不利益が返ってくるケースがあります。
保証人の通知義務もパターンごとにきっちりおさえておきましょう。